定年後に上海の大学を卒業したぞ

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<<   作成日時 : 2008/09/18 00:08   >>

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障害児の外国語教育その1

ALT(外国語指導助手)のハナさん(仮名、以下人名はすべて仮名)はカナダから来たばかりの若い女性で、日本語は一言も話せなかった。背は高く、色浅黒く、スペイン風の情熱的な顔立ちで、聞けば父親がイエメンからの移民だったそうである。

私ももちろん外国人と接するのはほぼ初めてだったが、NHKラジオ講座じこみの会話は意外に通じてけっこうコミュニケーションが成り立つのには自分でも驚くほどだった。

ハナさんは他にも小学校を訪問しているが、「ほかの小学校は一日中誰も話しかけてくれないのでとても苦痛だ、でもここは話が通じるのでとても楽しい」と機関銃のように話してくる。

聞くのは長年のラジオ講座で慣れている、短く相づちをうって2,3キーワードを並べて返答すればまたハナさんが山ほど話しかけてくる、と言った具合で、周りから見るといかにも流暢に会話しているように見えるが、実情はそんなものだった。要は相手の言っていることが理解できれば、こちらはとつ弁でもなんとかなるのである。

思わぬ副産物もあった、私が「通訳まがい」の仕事をしているので、校長を始め周囲の目が変わってきたことである。「先生はすごいわね、本当にペラペラなのね、中学では英語を教えていたの?アメリカに行った事があるの?」中学から突然やって来た出世にまるで関心を示さない初老の男は、いままで奇異の目で見られ、敬遠される事が多かったが、このやや過大な評価に苦笑するほかなかった。

私のクラスは皆4年生以下で、ほとんど言語を持たない子、吃音など重い障害がある子も居たが、みんな明るく人懐っこくかわいい子ばかりだったので、ハナさんにも教室にたびたび来てもらって給食を一緒に食べたり、遊んでもらったりした。

私は自分の子供の教育の経験から外国語教育は4年生以下で始めるといい、という信念があった。

その時は単なる経験のみで理論(10歳の壁)の裏づけがあったわけではないが、私のクラスの子供たちは、言語がほとんどなくてもこちらの言う事はわかるつまり日本語がわかる、重度の吃音でも文法的には正しい日本語がしゃべれる、ただ単に知恵遅れで理解は遅いが正しい日本語がしゃべれる。

こんな子供たちの実情を見ると、日本語が理解でき、しゃべれるなら障害児にも外国語を教える事ができるのではないか、という気持ちが湧き上がってきた。

親が3ヶ国語を話す多言語地帯のベルギーの障害児は、はたして1ヶ国語しかしゃべれないのか? 素朴な疑問であった。
       (この項つづく)


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